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人魚島
第9章 枝分かれの現実
『まさか、そんな事あるのかな?』

『三咲さんは売春街の魚姫でアルバイトしていたし、花子も掃除係として働いていたし、めちゃくちゃだったよ?全くあんな別世界があるなんて寒気が治まら無いや』

『大丈夫?』

花子が僕をギュッとする。
温かく柔らかなそれに涙が自然に出て来てしまう。

『とにかく良かったよ、怪我とかは無い?』

『それは無いよ、後、龍 神一って知ってるの?』

僕の問い掛けにしばらく花子は考えてから『ああ』と閃く。

『龍さんなら夏休み限定で来る島の常連さんだよ、確かウオトと不仲なんだ、訳は知ら無いけど』

『彼が龍神だって知ってた?』

『まさか、嘘やわ』 

『いや、そのまさかなんだ。別世界でシンイチに会ったよ、それから帰り方を教えて貰ったよ』

『ウオトはおらんかったん?』

『なんか向こうの花子に言わせればニューヨークに単身留学中らしくて居無かったんだよ』

『龍さんかぁ、確かに謎めいてて何考えてるか解ん無いけど、悪い人じゃ無いよ?夏休みになるとフラッと野良猫みたいに現れて8月31日になると広島県に帰って行くんだ』

『いや、彼は龍神だから帰って無い。古来からの島の住人なんだ』

『とにかくどうしたら元の時空間に戻れるのかしら?』

『魚鳴き岬って解る?』

『ああ、あの自殺の名所スポットね、それがどないしたん?』

やはりか、あの嫌な違和感は。
僕には多少霊感があった。
見えはし無かったが感じる事は出来た。

『やはり自殺の名所か…うん、そこから飛び降りたら帰って来れたんだよ』

『そうなんだ、なら次からも魚鳴き岬から飛び降りるんだ?』

『嫌だけどね』

『今日はもう止めておいたら?』

花子が心配そうに僕の顔を覗き込む。

『いや、行くよ、何度でも』

『そう、あんま無理せんでな?』

『うん、解ってる…帰ろうか』

『うん』

僕達は手をしっかり握り合いながら自転車に股がり魚沼家に向かった。
居間に帰り西瓜を食べながら宿題を片付け、自由研究用の姫蛍に西瓜を餌さとしてやった。
花子も手伝ってくれた。
やがて昼食になるが、咲子達3人は相変わらずパーラー末次に入り浸りなのか帰宅する気配は無い。
今回のタイムリープの報告にとウオトの居る民宿春魚に赴けば『行ってきたんやね』とフンワリ微笑むウオトが軒先で子猫4匹と戯れていた。
なんとか加わる僕。
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