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人魚島
第10章 東京編
エレベーターがやって来る。
ミケさんが8階を押せば二度三度揺れてエレベーターが上昇する。
ミケさんが僕の首に両腕を絡めながら『ダーリン、早くあっためて?』とキスして来る。
慌ててかわすもディープキスに変わる。
僕は『止めて下さいッ!』とミケさんを身体から剥がす。
『なんやねん、さっきから、えらい冷たいなぁ』
『………』
ミケさんが渋々と言った具合に8階に到着したエレベーターから出る。
そして突き当たりの角部屋の扉を開く。
中は何やらブラックデビルの残り香で甘ったるい。
『入ってや』
中は綺麗で清潔に保たれていた。
8畳と10畳の2DKらしい。
独り暮らしには充分だ。
早速ウイスキーを振る舞われたが口を付けない僕に対し訝しむミケさん。
『花子となんかあったん?』
ウイスキーを傾けながら訊ねて来る。
『いや、何も無いですよ』
『ふぅん、ならええねんけど』
『ねぇ、ミケさん、僕はどうして東京に居るの?』
『ハァッ?アンタ忘れたん?そない忘れっぽかったっけ?』
『うん、生憎何も知ら無いんですよ』
『アンタ大丈夫?』
ソファーに腰掛けながらミケさんが僕の顔を心配そうに覗き込む。
僕は『大丈夫』と頷く。
『はぁ、まぁ、良いわ、話したるわ』
ミケさんが語り出した。
『3年前の夏休み、アンタの遠い親戚の慎三ひぃじぃさんが亡くなってアンタは東京からやって来た。葬式に参加する為にな、んで花子を見初めて、まだ15歳の癖に花子に結婚を迫った…ここ迄は解るな?』
『はい』
『しかし、明さんがうんと言わんかった、覚えとらん?』
『はい』
『でな、アンタ等は駆け落ち、しかも東京に憧れてた敦連れてドロンや、解るな?』
『はい』
『敦からマリファナ貰いながらアンタは最初こそは年齢誤魔化してコンビニ店員して花子を養ってた。それが3年前。けど、マリファナが悪い作用起こしたんか、次第に通わん様になって花子は売春し始めた。それがちょうど2年前位、全く覚えとらん?』
まさか年齢を誤魔化して迄花子と一緒に居たかったとは、駆け落ち恐るべし。
『で、敦はいよいよヤクザに杯もろて本格的に派手にやり始めた。シャブかて密輸するよになってしもた、アンタのせいや』
『………』
『まぁ、そないな顔すんなし』
『でな』ミケさんは続けた。
『ある日花子が妊娠した訳や』
ミケさんが8階を押せば二度三度揺れてエレベーターが上昇する。
ミケさんが僕の首に両腕を絡めながら『ダーリン、早くあっためて?』とキスして来る。
慌ててかわすもディープキスに変わる。
僕は『止めて下さいッ!』とミケさんを身体から剥がす。
『なんやねん、さっきから、えらい冷たいなぁ』
『………』
ミケさんが渋々と言った具合に8階に到着したエレベーターから出る。
そして突き当たりの角部屋の扉を開く。
中は何やらブラックデビルの残り香で甘ったるい。
『入ってや』
中は綺麗で清潔に保たれていた。
8畳と10畳の2DKらしい。
独り暮らしには充分だ。
早速ウイスキーを振る舞われたが口を付けない僕に対し訝しむミケさん。
『花子となんかあったん?』
ウイスキーを傾けながら訊ねて来る。
『いや、何も無いですよ』
『ふぅん、ならええねんけど』
『ねぇ、ミケさん、僕はどうして東京に居るの?』
『ハァッ?アンタ忘れたん?そない忘れっぽかったっけ?』
『うん、生憎何も知ら無いんですよ』
『アンタ大丈夫?』
ソファーに腰掛けながらミケさんが僕の顔を心配そうに覗き込む。
僕は『大丈夫』と頷く。
『はぁ、まぁ、良いわ、話したるわ』
ミケさんが語り出した。
『3年前の夏休み、アンタの遠い親戚の慎三ひぃじぃさんが亡くなってアンタは東京からやって来た。葬式に参加する為にな、んで花子を見初めて、まだ15歳の癖に花子に結婚を迫った…ここ迄は解るな?』
『はい』
『しかし、明さんがうんと言わんかった、覚えとらん?』
『はい』
『でな、アンタ等は駆け落ち、しかも東京に憧れてた敦連れてドロンや、解るな?』
『はい』
『敦からマリファナ貰いながらアンタは最初こそは年齢誤魔化してコンビニ店員して花子を養ってた。それが3年前。けど、マリファナが悪い作用起こしたんか、次第に通わん様になって花子は売春し始めた。それがちょうど2年前位、全く覚えとらん?』
まさか年齢を誤魔化して迄花子と一緒に居たかったとは、駆け落ち恐るべし。
『で、敦はいよいよヤクザに杯もろて本格的に派手にやり始めた。シャブかて密輸するよになってしもた、アンタのせいや』
『………』
『まぁ、そないな顔すんなし』
『でな』ミケさんは続けた。
『ある日花子が妊娠した訳や』