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人魚島
第10章 東京編
帰りたくとも帰る気になれず仕方無く新宿ゴールデン街でギネスビールを呑んだ。
橘さんを連想させた。
橘さん、どうしてるのかな?
スマートホンの連絡先一覧表を見たが見知らぬ名前はビッシリあったが橘さんの連絡先は無かった。
人魚島の知り合いも咲子とミケさんと敦さん程度だった。
中学時代の友人に電話を思わず掛ける。
8回目のコール音の後、懐かしい葉山の声で『なんだよ、篠山ぁ』と言われた。
『今から学習塾の帰りだわ、センター試験落として希望大学危ういから、またな』と葉山に突っぱねられ慌てて『なぁ、一度会えないか?』と引き止める。
そりゃそうだ、高校3年、受験シーズンだ。
葉山も忙しいに決まってるが会いたい気持ちが募った。
『篠山ぁ…あのなぁ、まぁ、良いや、秋葉原の俺の実家解るよな?』
『うん』
『その近くに来いよ、アルバイトの給料日前だから奢れねぇけどさ、ラーメン屋の屋台来てんだわ、食おうぜ?』
『良いよ』
僕は20分程掛けて人でごった返す新宿駅から秋葉原駅を目指した。
葉山とは小学生時代からスイミングスクールが同じで仲良くしていた。
中学は別だったが、気の合う親友の一人だ。
互いの実家も電車で10分足らずの距離なので、良く実家を行き来しては当時流行ったゲームボーイでポケットモンスターなんかをやった。
葉山は所謂優等生な僕とは反して不良癖があった。
緩い校風の中学らしく、髪の毛だって12歳から茶髪で耳たぶにはリング状のピアスがそれぞれ2つずつ空いていたし、煙草もそれ位の年齢で吸っていた。
そんな葉山が明治大学を目指すと言い出したのは、やや右翼思考の彼が政治家を目指すと言い出したからだ。
僕は『止めとけ、そこらの氏が無い三流大学にしとけ』と笑ったが葉山は聞かなかった。
『よう、久しぶり』
UNIQLOのジャケットを羽織りPaul Smithのお洒落なマフラーを巻いた葉山が駅前大通で待っていてくれた。
『久しぶりだな』
『また身長伸びたか?』
『まぁな』
互いに拳を軽くコツンとぶつけ合うお約束の挨拶を済まし、夜8時過ぎ、僕等は屋台を見付けて僕は塩ラーメンを、葉山は担々麺をそれぞれ注文した。
5~6分程してラーメンがカウンターに並ぶ。
生ビールを頼み二人してはしゃぎながら乾杯する。
『どうしたんだよ?』
葉山がラーメンを啜りながら訊ねた。
『いや』
橘さんを連想させた。
橘さん、どうしてるのかな?
スマートホンの連絡先一覧表を見たが見知らぬ名前はビッシリあったが橘さんの連絡先は無かった。
人魚島の知り合いも咲子とミケさんと敦さん程度だった。
中学時代の友人に電話を思わず掛ける。
8回目のコール音の後、懐かしい葉山の声で『なんだよ、篠山ぁ』と言われた。
『今から学習塾の帰りだわ、センター試験落として希望大学危ういから、またな』と葉山に突っぱねられ慌てて『なぁ、一度会えないか?』と引き止める。
そりゃそうだ、高校3年、受験シーズンだ。
葉山も忙しいに決まってるが会いたい気持ちが募った。
『篠山ぁ…あのなぁ、まぁ、良いや、秋葉原の俺の実家解るよな?』
『うん』
『その近くに来いよ、アルバイトの給料日前だから奢れねぇけどさ、ラーメン屋の屋台来てんだわ、食おうぜ?』
『良いよ』
僕は20分程掛けて人でごった返す新宿駅から秋葉原駅を目指した。
葉山とは小学生時代からスイミングスクールが同じで仲良くしていた。
中学は別だったが、気の合う親友の一人だ。
互いの実家も電車で10分足らずの距離なので、良く実家を行き来しては当時流行ったゲームボーイでポケットモンスターなんかをやった。
葉山は所謂優等生な僕とは反して不良癖があった。
緩い校風の中学らしく、髪の毛だって12歳から茶髪で耳たぶにはリング状のピアスがそれぞれ2つずつ空いていたし、煙草もそれ位の年齢で吸っていた。
そんな葉山が明治大学を目指すと言い出したのは、やや右翼思考の彼が政治家を目指すと言い出したからだ。
僕は『止めとけ、そこらの氏が無い三流大学にしとけ』と笑ったが葉山は聞かなかった。
『よう、久しぶり』
UNIQLOのジャケットを羽織りPaul Smithのお洒落なマフラーを巻いた葉山が駅前大通で待っていてくれた。
『久しぶりだな』
『また身長伸びたか?』
『まぁな』
互いに拳を軽くコツンとぶつけ合うお約束の挨拶を済まし、夜8時過ぎ、僕等は屋台を見付けて僕は塩ラーメンを、葉山は担々麺をそれぞれ注文した。
5~6分程してラーメンがカウンターに並ぶ。
生ビールを頼み二人してはしゃぎながら乾杯する。
『どうしたんだよ?』
葉山がラーメンを啜りながら訊ねた。
『いや』