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人魚島
第10章 東京編
加藤がニヤリとしながら僕の左手薬指を何やらホルマリンの中にソッと忍ばせる。
『記念品だ、早いがメリークリスマス』とホルマリン漬けを手渡された。
再び脳内にゆっくりショパンのノクターンが流れる中、僕は暴行され、乱雑に扱われた。

『綺麗な顔だからなイヤらしい大企業の社長やらの男娼になれるかも知んねぇから、顔は勘弁してやらぁ』

加藤は執拗に踞る僕を蹴り上げ続けた。

『死ねよ、糞餓鬼』

言いながらゆっくりネットリ葉山の首にガムテープを巻き付けビニール袋を密封する加藤。
僕は他のヤクザに押さえ付けられ助けたくても助けられ無い。
ガタガタ震えながら失禁する葉山。

『や、止めろッ!』

なんとか叫べたが『お前も死にてぇか?』とバタフライナイフを顔の目の前に突き付けられた。
しばらくしてシュコーッシュコーッと葉山の口元から不可解な酸素ボンベみたいな音がし、ビニール袋が吸い込まれた。
僕は涙をダラダラ溢しながらガタガタ震えていた。
シュコーッシュコーッんぐッ!!!
次の瞬間、ビニール袋内が真っ赤になり、葉山が無惨に吐血したのだと痺れる頭でなんとか理解した。
葉山はガタンガタンと二度三度揺れてからゆっくり前のめりに倒れ、ビクンビクンと痙攣し、やがて動か無くなった。
こいつ等、葉山を殺しやがったッ!
途端沸き上がる恐怖と怒りの最中、事務所のスチール扉が開いた。
振り返ればヴィヴィアンウエストウッドのライダースジャケットを着た花子が『こっちに来いよ』とヤクザに入れられていた。

『スマートホン鳴ってたから、出てみりゃ、こんなえげつねぇくれぇ可愛い女居たんだな』

加藤が下品に笑い、花子の手首を掴んだ。

『ハ、ハルくん…これは一体?』

『篠山春樹6月30日生まれの18歳ね』

僕の免許証を弄びながら加藤が続けた。

『なんでこんな下らねぇ事して死にたい訳ぇ?』

花子が葉山の死体に気付き『きゃあッ?』と声を荒げた。
僕は目蓋をギュッとする。

『マワセ』

加藤が言った瞬間、4~5人のヤクザが花子に群がり花子を応接ソファーに押し倒した。
そしてハンディカメラやスマートホンで動画を撮影し出す有り様。

『この雌餓鬼にも解らせねぇとな』

言いながら24kasasのズボンを脱ぎ既に勃起した陰茎を花子の顔に突き付ける加藤。
僕は取り押さえられ、身動きがまるで取れ無いでいた。
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