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人魚島
第10章 東京編
勿論不安になり、時折スマートホンで随時新幹線情報を確認したが、やはり土砂災害のせいでひかり、のぞみ全通共に運通してい無い様だ。
しかも荒波からフェリーも未だに回復してい無い見通しだ。
テレビ番組も先程から損害被害を伝える臨時ニュースばかり流し報道していた。
どのテレビ番組に変えてもそれは同じでアナウンサーが被害を眉ねを寄せながら伝えていた。
僕は隠していたホルマリン漬けをトイレに流し花子から隠蔽した。
花子には適当に指を無くしたと伝えてある。
浅はかな花子はそれを信じた。
やがて次第に退屈さからケントを吸い込み、そして吐き出すを繰り返し微睡んだ。
テレビ番組は付けたまま寝た。
夜中肌寒さから目覚めると不意にまた豪雪していた。
スマートホンを眺め時刻を確認、深夜の11時過ぎだったが花子は未だに帰宅してい無い。
心配になりパジャマにヴィヴィアンウエストウッドのカーディガンを羽織ってサンダル姿でアパートの軒先で花子を待てば一台のタクシーがやって来て僕の目の前で停車した。
時刻は夜中の11時半だった。
中から花子がやって来て『ごめんな、ハルくん、仕事長引いちゃった、深夜やけん、心配したやろ?』と笑う。
思わず抱き締めタクシーのドライバーに『いくらですか?』と訊ねる。
1700円だった。
どうやらそこ迄遠く無い場所で花子は仕事をしていたらしい。

『ただいま、今日ね、お客さんにカボス貰ったけん、懐かしいやろ?ん?またジンカボス作ってや?』

『良いよ、なぁ、花子?僕も明日から働くよ』

『なら知り合いにホスト居るけん、仕事紹介して貰お?』

『馬鹿、僕にホストなんか向いて無いよ』

『解らんけん、仕事紹介して貰お』

すかさずスマートホンを取り出し知り合いらしいホストにポチポチとLINEを送信する花子。
僕がジンカボスを作ってやれば、花子はボーダーのモコモコパジャマに着替える。
しばらくジンカボスを楽しみイチャイチャする。
そしてLINEに返事が来た。

『あ、電話してやってさ、ちょっと掛けてみるわ』

『うん』

花子がピンク色の花柄のスマートホン片手に小さな耳に寄せるとくぐもった声がした。
なんとか聞き取れたその声はシンイチだった。

『あ、もしもし?うん、花子だよ?あんな、龍さん、なんかうちの彼氏が仕事紹介して欲しいらしいねん、あ?話してみる?良いよ?』
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