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人魚島
第10章 東京編
Cartierのスーツに身を包んだ敦さんがスーパーカーオロチからゆっくり降りて来た。
そして開口一番『呑まねぇか?この間は悪かったな』と素直に謝って来た。
なんだ、顔を合わせばまともじゃ無いか。
僕は胸を撫で下ろした。
そして近くの高そうな洒落たラウンジで通称ロマネ、ロマネコンティを初めてご馳走になる。
ロマネコンティはせいぜい40万位だった。
ホストクラブでのロマネコンティが馬鹿高いだけだそうだ。

『なぁ』

ラークを燻らせながら敦さんが静かに語り出す。

『花子の事は忘れてやるよ』

『本当ですか?』

『ああ』

敦さんは笑いながらロマネを傾ける。
良かった、花子の事は諦めてくれるみたいだ。

『ちょっと歩かねぇか?』

ロマネもそこそこに下北沢の駅前大通を二人して練り歩く。
『冷えるな、スタバで珈琲買って来るから、待っとけよ』敦さんがスターバックスのカウンターで何やらホット珈琲2つ注文している。
僕はケントを燻らせながらスターバックスの軒先で敦さんを待った。
途端、トンッと腹に何やら温かい感触がした。
最初近付いた敦さんがホット珈琲を僕のヴィヴィアンウエストウッドのシャツに引っ掛けたのかと思ったが、どうやら違うらしい。
僕の腹にバタフライナイフが生えていた。

『悪ぃな、花子は俺のもんだ』

敦さんが僕をバタフライナイフで貫いたのだと理解した次の瞬間、僕は尻餅を付き、やがて雪が積もった駅前大通にて仰向けに倒れた。
遠くから救急車がやって来るサイレンが聞こえ、何故だか脳内にはショパンのノクターンがエコー付きで流れた。
頭がぐわんぐわんする中、担架に乗せられ救急車は走り出した。
ガシャンガシャンと担架がやかましく鳴る中、僕はJR東京総合病院にて外科手術を受ける。
何やらくぐもった声がした。
執刀医が叫ぶ『T型の血液型だッ』T型…一億人に独りの割合だ。
『登録無いか、急げッ!』僕は酸素マスクの中、麻酔でそのまま眠りに付いた。
次に目覚めた時、僕はしこたま驚いた。
PICUの病室の隅"僕"がもう一人居たのだから。
彼は身なりも背丈も年齢も同じだった。

『なんだって俺がもう一人居るんだッ?』

開口一番彼は僕の胸ぐらを掴んで喚いた。
誰も居無い僕等だけのPICU内で彼は続けた。

『篠山様、ご協力下さいって言うから来てみりゃ、どうなってんだよ?あ?双子か?』
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