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人魚島
第10章 東京編
イシコリドメはCHANELのダッフルコートにCHANELのマフラーをして、その目を輝かせながらこちらに近寄ると、すぐさま『寂しかったよ』と口付けして来る。
僕は激しくディープキスし、イシコリドメの寂しさを穴埋めしてやる。

『石五里さんに似合いそうなバングル買ってきましたよ』

早速早々にCHANELの紙袋を手渡す。

『何?何?』

目を輝かせながら開封し、リボンをほどくイシコリドメ。
イシコリドメは『わ、可愛いッ!前から欲しかったバングルだ』と目をキラキラさせた。

『着けてみて下さいよ』

『解ったわッ!わぁ、純銀製じゃん、奮発してくれたんだねッ!』

イシコリドメがバングルを腕に巻いた。
シルバーカラーにダイヤモンドが5つ散りばめられた物だ。
13万、イシコリドメからすれば安物だろうがまだ給料日が先の僕にしてみれば大金だ。

『ね、キラキラして可愛いね、ありがとうッ!早くお鍋屋さん行こうよ』

『うん』

六本木、腕にイシコリドメを抱きながら鍋屋に向かう。
六本木駅交差点タワービルの9階だ。
入り口は古風で人魚島を連想させる猿ボボが連なっていた。
中に入りカウンター席に座る。

『串焼きや串カツもあるから、遠慮せずに食べてね?』

『はい』

『とりあえず生ビール呑もうか、マットプレイで喉カラカラだよ』

生ビールが中ジョッキで運ばれる。

『はい、乾杯ッ』

イシコリドメがニコニコしながら僕の生ビールのグラスに自身のグラスを傾けた。
チンッと鳴るグラスとグラス。
それを傾けながら僕等はキムチ鍋をつついた。

『ねぇ、急に会いたいだなんてどうしたの?』

肴のチャンヂャを摘まみながらイシコリドメが僕の小皿に湯豆腐をよそう。

『それが…』

『何?彼女と結婚するんでしょ?上手く行って無いの?』

『いや、結婚はしますよ、彼女今妊娠10週目だし』

『ふぅん、ならどうしたの?まさかドラゴンゴッド辞めるから、あたしとの関係にも終止符打ちたいとか?』

イシコリドメがギュッと手を握って来る。

『いや、しばらくはドラゴンゴッドに居ますよ。借金ありますから、返済し無いと』

『いくらあるの?』

生ビールを呷るイシコリドメにまさか春樹の借金500万追加で1000万にまで膨れ上がったとは話せそうに無い。

『まぁ、適当な額ですよ、それより石五里さんに頼みが…』
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