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人魚島
第10章 東京編
『今、新宿歌舞伎町でホストやってます』

『へぇ』

ウオトがカウンターに頬杖を付く。
黒の光沢があるベストが様になっている。

『イシコリドメはそこの太客なんです』

『僕も何度か女神とはデートした事があるけど、みんな我が儘だろ?それにすぐさま陰茎を欲しがるからね、ほとほと付き合い切れなかったよ』

『はぁ』

『コノママガイイ?』

『え?』

『花子は今幸せなんやろ?せやったら春樹くんはこの時空間で花子と幸せになれば良いよ』

『はい、今妊娠中なんです。来春花子の誕生日4月4日に結婚します。ウオトも式に来てね』

『休みが合えばね』

笑うウオトだったが、何処か寂しげだ。

『元の時空間の花子はどうするの?』

『ウオトが幸せにしてやって下さい』

『僕が?奪っても構わ無い訳?』

『はい』

僕は力強く頷いて見せた。
ウオトはやれやれと肩を竦め目蓋を閉じた。

『春樹くんが言うんやったら仕方無いね』

『はい』

『幸せになりなよ?』

『はい』

『お待たせ』

イシコリドメが戻って来た。
ファンデーションを塗り直したのか肌が一段と美しい。
イシコリドメは僕の手をギュッとしながら目をウルウル潤ませる。
僕の陰茎がそろそろ欲しいのだ。
イシコリドメは『コンラッド東京、予約入れてるから行きましょう』と会計に立つ。
CHANELの長財布は7~8個あり、どれも万札でパンパンだ。
クレジットカードも何枚もある。
イシコリドメが会計を済ましジャズバーから出る。
コンラッド東京は汐留にある。
東京湾を一望出来るらしい。
金銭感覚の狂ったイシコリドメからすればロイヤルスイートルームキングサイズベッドの部屋が一泊30万は安いらしい。
流石女神様恐るべし。
40階建て最上階のロイヤルスイートルームにてソファーでドン・ペリニヨンを呑む。
イシコリドメはいたくバングルを気に入ってくれていたが、13万だ、なんだか気恥ずかしい。 
彼女からすれば1300円と言った所か。
イシコリドメが『ベランダの露店風呂入ろう?』と艶かしい肢体で誘って来る。
僕はFerragamoのスーツを脱ぎ、ハンガーに掛けて全裸で露天風呂に浸かり、イシコリドメを脚の間にし肩や背中をマッサージしてやる。
『あ…ん、良いよ…気持ち良いよ?』イシコリドメが喘ぎ声を早くも洩らす。
僕はゆっくりマッサージして行く。
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