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人魚島
第10章 東京編
ゆっくり寝息を立てる花子の頬を撫でながらベランダの向こうを見詰める。
雪が降りしきっていた。
そう言えば広島大阪間はどうなったのだろうか?
スマートホンを開いて調べれば島根県や鳥取県は大丈夫らしい。
行き来は可能らしい。
東京から鹿児島県迄は山陽自動車道と九州自動車道を使えば16時間位掛かる。
つまり1月3日の朝8時位に到着する単純計算だ。
今頃シンイチはアルカリであの敦さんの死体を煮詰めているのだろうか?
しかし、豚は食べてくれるのだろうか?
ヤクザに話して大丈夫なのだろうか?
疑問は尽きない。
ゆっくり仰向けになり天井を仰ぐ。
見慣れた染みをオリオン座に見立てる。
すぐ隣は水瓶座、牡牛座だ。
『午前2時踏み切りに望遠鏡を担いで来た~♪』とバンプオブチキンの天体観測を思わず口ずさむ僕。
『ベルトに結んだラジオ、雨は降ら無いらしい~♪』
リズムを足の指で取ヒッソリヒッソリ歌う。
花子は寝息を立てている。
チビも寝息を立てている。
僕はゆっくり落下する雪を見詰めながら目蓋を閉じた。
夕方4時、ダブルチーズバーガー片手にシンイチが『よう』とハイエースでやって来た。
ハイエースは黒塗りでフルスモーク仕様だ。
中は伺い知れ無い。
荷台にはきっと敦さんの死体が乗せられているに違い無い。
背筋がビクッとなる。
とにかく死体が上がらない様にしなければなら無い。
よく海に沈めるだとか、トイレに流すだとかあるがあれは効果は無いらしい。
手っ取り早いのは人間が"食う"か豚が"食う"かだ。
とりあえず助手席に花子を乗せて敦さんの死体が転がる荷台に座る。

『あん?なんだって花子付きなんだ?』

シンイチが目を丸くする。

『独りは嫌なんだってさ、それよりアルカリで煮詰めたの?なんかアンモニアの臭いが半端無いよ』

車内は何やらアンモニア、オシッコ臭い。

『あん?とっけ溶けだよ、身元もこのまんまでも解んねぇだろ?』

『行くの?』

『ああ、明日朝に着くよ、寝とけよ』

言われたって睡魔は来ない。

『お前等用にダブルチーズバーガーセット買っておいたぞ?食えよ?』

『よく死体と一緒に食えるね』

走り出すハイエース。
僕はシンイチに敦さんの免許証と保険証一式を手渡した。

『ああ、サンキュー、手間賃だ』

1万円札を僕の右手に捩じ込むシンイチ。
シワシワのそれをジーンズに入れた。
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