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人魚島
第10章 東京編
ウィンターホールが軽やかに流れる中、シンイチはヤニ切れからか貧乏揺すりしながら運転していた。
しきりに『畜生、煙草吸いたいぜ』と唸っていた。
シンイチが窓を閉めた。
車内が徐々に温かくなったが、シンイチはエアコンを切った。
"敦さん"の腐敗の進行を遅くする為だ。
唸るハイエース、三重県桑名市を出た。
じきに大阪府だ。
シンイチはウィンターホールを口ずさみながら『全くとんでもねぇ年明けになっちまったよ』と笑う。
全くだ。
まさか敦さんを殺める事になるとは思いも寄ら無かった。
敦さんが悪いが、僕等はそれ以上に罪人だ。
呆気無く敦さんは死んだ。
窓の向こう側の雪を睨みながら僕は時折ガサッとハイエースの振動で揺れる敦さんの死体が入ったビニール袋を見詰めた。
黒いビニール袋90リットル入る大型なそれに敦さんは折り曲げられ入っている様だ。
長時間煮詰められ、恐らく骨もスカスカだろう。
ウィンターホールだけが違和感に軽快に鳴る車内、花子の熱が下がらないらしく咳き込みながら『熱い…』とミネラルウォーターを呷る。
明日になればJCHO東京新宿メディカルセンターに連れて行ける。
産婦人科で腹の子供の発育も診て貰おう。
そして幸せに子供三人で質素ながら暮らすんだ。
その為には邪魔な"敦さん"をどうにかしなければなら無い。
『大阪だ』深夜、大阪を横切る。
眠ら無い街大都市大阪だ。
ライトアップされた豊臣秀吉の大阪城がチラッと見えた。
大阪なんか新幹線で通過した位で来た事無かった。
まさか、到来がこの様な形になるとは夢にも思わ無かった。
大阪城を横目に深夜11時半過ぎ兵庫県姫路に到着する。
姫路サービスエリアでボス缶を大量に買い込み、シンイチはブラックデビルを燻らせながら『次は中国自動車道で島根県な、運転手交代だ』と笑う。
花子は離れた場所で夜空を見上げながらアイス珈琲を飲んでいる。

『いてて…椎間板ヘルニアが再発しそうや』

シンイチが伸びをする。

『神様なのに、椎間板ヘルニアなの?』

『昔な、それに人間界に居る間は俺等神は生身の人間となんら変わらんけんな、姉ちゃんが特別や、腹の傷消してもろたんやろ?』

『はい、まさかアマテラスにあんな力があるなんて』

喫煙所の一角、シンイチが『姉貴は神の世界でトップやけんな』と鼻を鳴らす。

『月読である龍神のあなはナンバーツーじゃ?』
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