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人魚島
第10章 東京編
『あん?まぁな、けど俺は神なんか下らねぇ仕事より、人間界で人間観察してる方が性分に合ってるらしいけんな』

『神様としての仕事は?』

『あん?やってるに決まってんだろ?俺は龍神、海の神や、貿易やら漁業やらの神や、しっかりやっとる』

笑いながらボス缶を呷り『島根県行くぞ』と喫煙所から立ち去る彼を追い掛ける。
『花子、行くよ?』いつの間に来たのか野良猫と戯れる花子に声を掛けて僕はハンドルを握った。
いつの間にかシンイチは後部座席の荷台で大の字になり眠っていて花子もうつらうつらしている。
『もう寝たら?朝には着いてるよ?順調に進めばね』僕が言っても『ハルくんにボス缶を渡すと言う仕事があるけん、起きとく』と寝ぼけ眼で言う花子。
『無理はし無いで良いよ』と言いながらも僕もかなり眠い。
ドライバーズハイにチャプターを合わせハイになろうとする情け無い僕に『はい、ボス缶』と缶珈琲を手渡してくれる花子。
しかし、妊娠初期の妊婦がこんな固く狭い車内の長旅なんて腹の子供に影響無いのだろうか?
先程からハイエースは太いエンジン音を上げながら揺れているし、流産してしまわ無いだろうか?
心配だ。

『なぁ、シンイチ、起きろ』

『なんやねん?』

『花子が荷台で横になるから、シンイチは助手席に来て下さい』

『あん?やだよ』

『妊婦なんですよ』

『はッ妊婦妊婦ってそればっかだな、仕方無ぇな、おら、花子、来いよ』

花子が後部座席に滑り込む。
入れ替わる様にシンイチが運転席と助手席の隙間から助手席にドカッと座る。
ヴィヴィアンウエストウッドのスニーカーを脱ぎ、ダッシュボードの上に足を投げ出すシンイチ。
貧乏揺すりしている。
エアコンを消した車内は凍える様に寒い。
雪も止みそう無い。
背後の後部座席からはくぅくぅと花子の寝息が聞こえて来る。
いつの間に買ったのかシンイチは姫路名物特産品のお土産焼きアナゴ片手に上機嫌だ。
『食うか?』と焼きアナゴを所謂あ~んで口内に投入される。
うん、甘くて美味いッ!

『いつ買ったの?』

『お前がションベンしてる内にだよ。五層もなかもあるぞ?食うか?』

僕は五層もなかを摘まみながらシンイチに呟いた。

『なぁ、この時空間、最初はめちゃくちゃだなって思ったけど、暮らしてみればなかなか良いもんだな』

『かくてもあられけるよ、だ』

『え?』
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