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人魚島
第10章 東京編
ニヤリとしながらシンイチが続けた。

『こんな風にしてでも、住めるんだなぁ、だよ』

『神無月のころ、ですよね?』

『ああ、流石やな、優等生』

笑いながらシンイチが禁煙パイポの封を開封し吸い始める。
フワッとメンソールの香りがした。

『僕はこの時空間の住人になります』

『帰らねぇのか?』

禁煙パイポを吸い上げながらシンイチは目を丸くした。

『はい、この時空間の花子と幸せになるつもりです』

『そうか、まぁ、俺もまぁまぁこの時空間気に入ってるよ』

『めちゃくちゃですけどね』

『ホスト、ヤクザ、覚醒剤、人間界の裏側、つまりはブラックな場面を垣間見れるけんな、退屈はしねぇよ、なんならお前、俺と組んでドラゴンゴッド2号店出すか?』

シンイチが禁煙パイポをチューッと啜る。

『まさか借金返済したら足を洗いますよ』

『何やるんだ?』

『足場鳶職や、氏が無いサラリーマンだとか、底辺と言われ様が会社員になりますよ』

『そりゃ花子の為か?』

『はい』

僕はアクセルを踏み込んだ。

『花子は幸せだな』

『だからこの時空間に決めたんです。当初は顔の無い花子を救う為でしたけど、あの花子にはウオトが付いてますし』

『そうか、なら丸く納まりそうだな』

『はい』

やがて島根県に到着する。
ギシッとハイエースから降りた。
飛ばしたせいか時刻は2時過ぎだった。

『腹減ったな、出雲蕎麦でも食うか』

サービスエリアで出雲蕎麦を啜った。
初めて食べた。
西日本特有の薄味だ。
蕎麦を啜っていると『やあ』と聞き慣れ無い声に声を掛けられた。

『オオクニヌシじゃねぇかッ!』 

シンイチが椅子から立ち上がりオオクニヌシと呼ばれた若い男に抱き付いた。
ヴィヴィアンウエストウッドのロングTシャツに黒いベスト、ヴィヴィアンウエストウッドの黒いジーンズからはクロムハーツのチェーンがチャラチャラしている。
靴はヴィヴィアンウエストウッドのロッキンホースゴルフだ。
肩程迄の長い黒髪をオールバックにし、薄い縁無し眼鏡を掛けている。

『久しぶりだがや、シンイチ』

オオクニヌシはゆっくり僕と花子を眺め僕を興味深そうに見詰めてから『へぇ、別の時空間の人間…いや、天使だがや?じゃけぇ何しに来ただがや?』とフンワリ微笑んだ。
若い頃のGacktに似ていてなんとなく面影がある。
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