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人魚島
第10章 東京編
『後15分もすれば下関だ』相変わらずハイエースは100㎞オーバーで疾走する。
シンイチが追い越し車線に乗り上げながら更にアクセルを踏み込めばエンジンが唸りハイエースは加速する。
およそ140㎞の中、関門橋を越える。
『着いたぞ、下関だ、4時か、ちょうど良いな、適当な居酒屋入るか、祝いだ、鰒酒が有名だな』少し早いが夕飯にする事となった。
賑わう下関の街を練り歩く僕等。
西日が傾き始めていた。
『ここにするか、解りやすいな、居酒屋下関だってよ』恐らくチェーン店では無い古い佇まいの居酒屋に入る。
『金ならあるよ』とシンイチが万札を従業員にちらつかせれば床の間がある座敷席に通された。
密閉された奥座敷、窓からは鹿威しが鳴っていて、池には立派な錦鯉が優雅に尾びれを動かしていた。

『アペフチなかなか良い女だったな』

ブラックデビルを燻らせながらシンイチが笑う。

『LINEのアドレス交換しておいて正解だったわ』

『何呑むんですか?』

『あん?鰒のヒレ酒だよ』

鰒のヒレ酒とは日本酒、主に熱燗に鰒の乾いたヒレを沈めて楽しむ酒の事だ。

『鰒刺とてっちりとヒレ酒な』

メニューを聞きに来た従業員に注文するシンイチ。
すぐさま熱燗と小皿に乗った乾いたヒレが運ばれた。
シンイチがすかさず熱燗の中にヒレを沈めた。

『俺達の成功に乾杯だ』

三人して熱燗のお猪口を近付け乾杯した。

『ああ、美味そうだな、食えよ、俺の奢りだ』

シンイチがてっちり鍋に鰒を沈めた。
僕も見様見真似でてっちり鍋を作る。
鰒の刺し身も運ばれテーブルは彩られた。
紅葉下ろしを作りながらブラックデビルを燻らせるシンイチに『明日休んでも良いですか?』と訊ねる。

『あん?なんでだよ?』

『明日は朝から花子の検診なんですよ』

『独りで行かせりゃ良いじゃねぇか』

『心配なんで、明後日からは出勤するんで、お願いですから、1日休んでも良いですか?』

てっちり鍋を咀嚼しながらシンイチがポキッと頸椎を鳴らした。

『仕方無ぇなぁ、他の従業員には内緒だぞ?』

笑うシンイチ。
なんとか無事に休みを貰えた様だ。
胸を撫で下ろす僕と花子。
シンイチはガンガン浴びる様に何か嫌な事を吹っ切る様に呑んでいた。
神様のシンイチでも敦さん殺害は不愉快な事らしい。

『はぁ、まぁ、呑んだな、帰るか』

『はい、運転お願いします』
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