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人魚島
第10章 東京編
『帰りにベビーカーと子供用の服見ようか』

僕が笑って言えば花子も『うんッ』と蔓延の笑みだ。
僕等は手をしっかり握り合いながら啄む様なキスをした。
人目もはばからずイチャイチャした。
何故なら幸せだったからだ。
僕が父親で花子が母親だ。
妊娠11週、妊娠2ヶ月半、後8ヶ月もしたら生まれるのだ。
ワクワクが治まら無い。

『赤ちゃん名前春子か秋樹で良いよね?』

ミネラルウォーターを傾けながら花子が言う。

『頑張って産むのは花子なんだから、花子が名付け親になりなよ?』

『出産立ち会ってくれる?』

不安そうに僕の目を覗き込む花子の頭を撫でながら『当たり前じゃん』とニカッと笑う僕。

『初産なんだから、不安だらけだろ?僕も廊下で待つなんて嫌だから立ち会うよ』

『ありがとう、ハルくんッ』

『篠山さん、ちょっと…』

診察室が開きアーカイブスを額に付けた内科の担当医が僕を手招きした。

『僕だけですか?花子は?』

狼狽える僕に『話があります』と神妙な面持ちだ。
時刻は予約時間より15分早い。
僕が診察室に入りスライド扉を閉めると、担当医が『座って下さい』と丸椅子に促す。
なんだろうか?と小首を傾げながら担当医を見詰める。

『先週の血液検査の結果が出ました』

『はい』

妊娠が解ったんだろ?
僕はニヤニヤしながら担当医の言葉の続きを待った。

『ご関係は恋人ですか?』

医者が問うので僕は蔓延の笑みで『はい』と頷いた。

『ご結婚は考えてますか?』

『勿論』

『先週の血液検査の結果ですが…』

『はい』

ワクワク。

『魚沼さんはHIVウイルスに感染しています。後天性免疫不全症候群です』

『は…?』

聞き間違いか?
僕の唇は捲れ上がった。
ヒクヒク痙攣しながら『い、今なんて?』と問い掛ける。

『ヒト免疫不全ウイルスに感染しています。薬物治療が必要です』

『まさか、嘘だ』

僕は立ち上がった。
しかし膝から下に力が抜けて無残に四つん這いになる。

『はい、しかし、血液検査では誤診もあります。魚沼さんには感染を伏せてもう一度だけ血液検査の再診しましょう、篠山さん、あなた魚沼さんとセックスしてますか?』

『…嘘だ』

『篠山さん?』

『…こんなの嘘だ』

『落ち着いて下さい』

『嘘だッ!』

『落ち着いて、セックス時にコンドーム使用は?』
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