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人魚島
第10章 東京編
医者を睨み付けながら『こんなの嘘だ』と突っぱねた。
担当医は僕を丸椅子に再度座らせると『まだ確定ではありません』と頭を左右に振るう。

『セックスしてましたか?』

『当然じゃ無いですか』

『篠山さん?コンドームは?』

『使ってたり、使って無かったりですね』

『ふぅん、念の為篠山さんも血液検査しますか?性行為での感染率は高いからね』

そうか、僕だってHIVウイルスに感染しているリスクがあるのだ。
忘れていた。

『来週また来て下さい、後魚沼さんにこの事実は伝えますか?』

カチャカチャと採血用の注射器をかかげながら医者が問う。

『まだ言えません…』

針が体内奥深くに突き刺さる。
痛みはあまり無かったが、心がズキズキ痛い。
花子は恐らく売春行為で感染したに違い無い。

『あの、インフルエンザは?』

『魚沼さんの体内からはインフルエンザウイルスは検出されませんでした。恐らくインフルエンザの様な症状はHIVウイルス感染の初期症状だと思われますが、まだ確定ではありません、後で魚沼さんも採血しましょう』

嗚呼…。
僕は項垂れた。
あのインフルエンザの様な症状は感染初期の症状だったのだ。

『子供はどうなりますか?』

『我々は中絶を勧めるよ、母子感染は当たり前だからね、ほぼ30%だ、感染経路の血液を経由するんだから当たり前だよ』

医者が力無く笑いながら針を僕から抜いた。
無事に採血が済んだ様だ。

『感染を防ぐ手立ては無いんですか?』

『あるにはあるよ、1%迄下げる効果のある薬がある、対策としては妊娠初期に感染が解り、適切な対策を取る事が出来れば赤ちゃんへの感染率は1%以下と言われてる、ほとんどの赤ちゃんが感染せずに生まれてくると言えます。適切な対策とは、具体的には服薬+帝王切開+人工授乳つまりは母乳を与え無い事となります。母子感染を予防するための対策は妊娠14週以降、抗HIV薬を服用する。分娩時には抗HIV薬を点滴する。分娩方法は予定帝王切開とする。断乳する、母乳は与えず、粉ミルクを用いる。赤ちゃんに抗HIV薬レトロビルシロップを6週間飲ませる…これをクリアすれば感染は1%だよ』

『じゃあ、14週目には花子に説明しなきゃなら無いんですか?』 

そんな事酷だ。
酷すぎる。

『あくまでも魚沼さんが感染していたらの話だよ、もう一度採血してみましょう』
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