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貴方だけに溺れたい
第7章  貴方に逢いたい

「……」

予想通り、智之は話の途中から目を逸らし、今まで観ていたテレビに向き直りながら黙りこんでしまった。
そんな智之の態度なんて珍しくも無いが、反論してこないのも癪に障る。

しかし言いたい事の半分も言っていないけれど、既に言い過ぎた気はしていた。
葵自身、攻撃的になれば余計な事を言ってしまうし、自分の発言にトゲがある事も自覚しているのだ。
それでも謝ろうとは思わない。
葵は沈黙した智之を横目に踵を返すと、そのまま浴室へと向かった。

智之の反応はおおよそ予想が出来る。
 
基本的には他人と口論出来ない性格だし、失言が多いくせに学習せず、強く攻められれば向き合えないのだ。
結婚前にはそれを『喧嘩は買わない。辛抱強く相手の話を聞く』等と平和主義的な言い回しで自己弁護していたが、結局は相手の不満を放置して、怒りを増幅させてるに過ぎない。
それでいて珍しく口を開けば『俺にはどうする事も出来ない』『しょうがないじゃないか』と改善策も考えようともせず逃げてばかり。
こっちは智之には出来ると思うから訴えているというのに、二人の子供の事も竹村の事だって、何一つ解決していないじゃないか……。

それにだ、家事の分担や雨戸を閉める事は智之自身が言い出したこと。
結婚する直前に田舎での同居の話をされた時、幸せにするし不自由はさせない等という常套句を受け入れた自分にも責任はあるけれど、自分で言った事に責任を持とうとしない姿勢が許せないのだ。

別に難しい事を頼んでいるわけじゃない。
『幸せにするし不自由はさせない』なんて言葉を信じたわけじゃないし、自分だって智之に幸せだと思って欲しいと思ってもいた。
けれど蓋を開けてみれば、本当に騙された気分だ……。

「くそ……どうにかしてよ……」

一度切れると、溜め込んでいる不満が一気に溢れ出してくる。
しかし乱暴に髪や身体を洗って怒りや苛立ちを発散しようとしても、"それらを選択した自分"に対する軽蔑と自己嫌悪は、逆に大きく膨らむばかりだった。


***





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