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貴方だけに溺れたい
第7章  貴方に逢いたい

園内に入って向かった先は、ブナ林にある東屋だった。

最近は森川と昼食を食べながら過ごす"憩いの場所"にもなっていたが、もともとは葵が独りで自分と向き合う為の、いわば瞑想の場所でもあったのだ。
とはいえ座禅を組んだり、自然のエネルギーを感じながら行うような神聖なものでは無いし、葵自身もそれを何と呼ぶものかは分かってはいない。
ただ4ヶ月ほど前にこの公園を知り、ブナ林を歩くようになってから自然とそうするようになっていた。

ブナ林に入ると、疎らに聞こえる蝉の声と、顔に当たる微かな風が心地好かった。此処に来るまでの暑さに比べれば、気温は僅かに低いのだろう。
それでも午後の太陽は林の中を強く照らしていて、渇いた地面が光を反射して眩しく見える。

東屋に着いた葵は、テーブルに荷物を置くと直ぐにスニーカーを脱いだ。
行儀が悪いのは承知の上だが、此処でテーブルに腰掛けながら林の先を眺めるのが好きなのだ。
立っている時との視界に大きな違いは無いけれど、単純に、素足である事や体勢が気持ちを緩めてくれる。

それに少し行儀の悪い自分の方が、本来の自分に近い。
誰の目も反応も気にする必要も無く、一人で居ながら誰かの気配を感じる事も無く邪魔される事も無い。
ただ自分にとって心地の好い場所で自分だけの時間を過ごす。
昔はそんな時間が当たり前にあると思ってたけれど"当たり前"過ぎて気付かなかったし、寧ろ蔑ろにしていたと思う。

袋から取り出した念願のチョコレートバーは少し溶けて柔らかくなっていた。
それでも一口齧ると微かな苦味を含む理想的な甘さが口の中に広がり、思わず唸るような声をあげていた。確かな満足。ここ最近は太る事を気にして食べていなかったから余計に美味しく感じるのかもしれないが、もともとは葵の大好物で、実家には常に小さいサイズの大袋が置いてあった。

食べなくなっていたのはここ最近__1年くらいだろうか。
結婚3年目を迎える頃、葵は今よりも10kg太っていたからだ。

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