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貴方だけに溺れたい
第8章  根底にあるもの

「負けた気がする……」
「俺は誘導してないよ」
「誘導したんじゃないですか?」
「質問してたのは君の方」
「…………」
「顔に出やすい」
「ちょっと、見るの、やめてもらえますか?」
「理不尽だと思うけど、了解」
「並々ならぬ事情があるんです」
「でもさっきから、君の方が俺を見てるんだよ?」
「……そうですね」
「ははっ。飴も貰っていいかな?」
「あ、どうぞどうぞ」

気が着けば、思ったより自然に会話が出来ている事に驚いていた。

勿論、はじめのうちは会話を繋げようと意識はしていたけれど、森川の過去を聞く事で、次々と明確な疑問が浮かんでいたのだ。
ただそれを口に出して尋ねる事が出来ていたのは、森川の淡々とした話し方のせいかもしれないし、飄々とした彼の態度のせいかもしれない。

会いたかった人に会えたのだから、単純にテンションも上がってもいた。

けれど確かな理由は分からなくても、葵はこの瞬間の自分のまま、もっと彼を知りたいと思い、この時間が終わらないように意識はしていたのだ。

「私は自分の事より、森川さんの話が聞きたいのですが……?」

それでも他人の人生を詮索するのは不躾な行為だと思ってしまうし、聞きたい事を口にしても、森川の反応が気になってしまい、ついつい彼の表情を確かめたくなる。

「俺の話はそれくらいだよ。10年以上も前だし、細かい事は覚えて無い。まぁ今もそれなりに節制はしてるけど、体力維持の為だから……」
「………」
「わー飴舐めながら"節制"なんて言ってる、この人。笑っちゃーう」
「そんな事、思ってませんよ」

ただその度に目が合うので、動揺はしてしまう。
盗み見すらさせてくれない。さすが元ボクサー。隙が無い。

だけど忘れた頃に意表を突いてきたり、からかうような事を言われても、全く不愉快じゃ無いし、寧ろくすぐったいような嬉しさが込み上げてくるのをどうにかしてくれ。


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