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貴方だけに溺れたい
第9章  喜びと切なさと、後ろめたさ

女性の先を3メートルほど通り過ぎた後、車を路肩に寄せて停めた。
不思議と鼓動が早まっている。それと覚悟を決めたせいでもあるのか、自分の行動にわくわくしているような昂りを感じ始めてもいた。

緊張もしている。
しかし自分以上に、彼女の方が動揺しているだろうと思う。

急に目の前で車が停まったのだから、自分なら見知らぬ車なら警戒する。
けれど余計な事ばかり考えてはいられない。

先ずは挨拶と自己紹介からだ。
こんな天候の中で呑気な事をしていられるわけでも無いが、葵は急いでハザードライトを点けてから、後ろを確認してドアを開けた。

雨と風は思っていた以上に強く、車外へと出た葵は顔面に打ち付けてくる雨に顔を歪ませながら、急いで歩道に佇む女性に声を掛けた。

「こんばんは!」

暴風にかき消されないように声を張り、急いで歩道へと回ってから彼女を見ると、案の定、短く持った傘を握り締めながら驚いたように目を見開く表情があった。
ただ彼女自身、傘も挿さずに暴風に晒され、酷い状態になって現れた女の正体は分かっていたのかもしれない。

「驚かせてすみません!私、野田です。近所の野田の嫁です!!」

そう叫びながら近付くと、彼女は察しているように何度か頷いた。
ただそれでも動揺はしているのだろう。驚きを浮かべた顔のまま葵を凝視していた。

いちいち考えてる場合じゃ無い。

「よかったら。よかったらじゃなくて、乗って下さい!こんな所、歩いてたら危ないですから、お家まで送ります!!」

そう言ってからは、半ば強引に車へと向かっていた。
彼女の持っていた荷物を奪うように引き受け、とにかく転ばないように背中を支えながら歩き、傘が頭に当たろうが気にせずに誘導。
助手席のドアを開けるまでの間の、彼女の言動はもはや気にしていられなかった。

ただ彼女自身、葵の行動に圧倒されてしまい、何かを言える状態では無かったようだが。

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