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貴方だけに溺れたい
第4章 秘密
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「興味無い」
「は?」
「聞いててもつまんないから、その話はもういいや」
敢えて面倒くさそうに言う。
話の腰を折られた智之が怪訝な表情を浮かべたのを確認すると、葵は自分の分の皿を盆に乗せながら立ち上がった。
まだ食べ掛けではあるが、そんな事は智之にとってはどうでもいい事だろう。
「ちょっと待ってよ、葵。つまらないとか、そういう話じゃ無いんだから」
そう言いながら呆れ顔で溜め息を吐くのは予想通り。
智之の中では、葵は"我儘"で理解力も無いという思い込みがあるから、話を切り上げるにはこの方法が手っ取り早いのだ。
勝手に呆れていればいい。
どうぞ我儘で自己中心的な妻に、人として大切な常識とやらを教えて下さい。
自分の愚かさはしっかりと棚に上げちゃって構いませんから、納得がいきそうな説教をしてみて下さい。
「だって私には関係の無い人だもの」
「関係無くないでしょう?これから暫く近所に住むんだから」
「だから?」
「だから?って……葵よくそういう言い方するけどさ、分かんない?」
「分からないから聞いてるんでしょう?だいたい、私がその森川さんと接触する可能性ってあるの?」
充分にあるけれど。
「そういう事言ってるんじゃ無くてさ……」
「なに?」
「…………」
智之の沈黙は、答えにくい部分を聞かれた為だろうか。
言葉に詰まったのを誤魔化すように溜め息を吐き、困ったように額を押さえるその様子を見て、葵は僅かながらに同情した。
智之は自分のフォローの為に、森川の不審さをイメージ付けたかっただけなのに……まさか自分で自分を追い詰める事になるとは……。
「……でもさ、あるかもしれないじゃん!」
往生際の悪い小学生かよ。
「なに?」
「葵、声掛けられるかもしれないじゃん。可愛いから」
誤魔化し方が安直過ぎて呆れる……。
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