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貴方だけに溺れたい
第5章 枷
「身体、引き締まってきたね」
「そう……」
「うん。一時はどうしちゃったのかってくらいプヨプヨしてたもんね?」
「…………」
「まぁ、それはそれでエロくて良かったけど、あんまり筋肉は付けないでね。痩せるのはいいけど、ムキムキはちょっと……」
「…………」
やっぱり寒いな……。
下着を脱がされ、むき出しにされた肌に冷風が当たる。
同時にコイツが口を利くたびに、身も心もどんどん渇いていくようだ。
せめて何も言わずに、風が当たらないように被さっていてくれない?
隣に横たわり、再び胸に吸い付く智之の肩に触れながら、葵は頭上から吹き付けてくるエアコンの風に意識を向けざるを得なかった。
鳥肌が立つほど寒い。
それなのに智之の肩はじっとりと汗ばんでいて、冷たく湿った肌が触れる度に、葵は自分の体温が下がっていくような不快感を感じる。
しかしここで『寒い』と訴えたところで、『俺は暑い』と答えるか先刻と同様の返事を聞かされるだろう。
しぶしぶ温度を調節してくれたとしても、事の中断に溜め息を聞かされるかもしれない。
だったら自分で止めてしまった方が早いのだが、不幸にもサイドテーブル側に智之が居るせいで手が届かないのだ。
どうしよう……本当に風邪をひくかも。
性格の問題かもしれないが、"同居"という環境上、体調が悪くたって安静に寝ている事なんて出来るわけが無いのだ。
それに仕事もあるし、来週は棚卸しもある……。
だけど、それよりも……。
…………。
「………痛ッ…」
突如、足の間に滑り込んだ智之の指の感触に鈍い痛みを感じた。
たぶん、まだあまり濡れてもいなかったのだろう。
「………」
しかし摩擦の痛みに呻いた葵に対して、智之は無言のまま自分の指を舐めると、再び葵の乳首をしゃぶりながら自分の唾液で彼女のソコを撫で始めていた。
「……ンッ……」
『ごめん』の一言も無い。
ただ自分の昂りに対して葵の準備が整っていなかった為に調子を狂わされた心境なのだと思う。
しかし見るからに面倒くさそうな智之の愛撫は今に始まった事でも無いが、さんざんシラケさせておいて、ここに来てそれか?とも思う。
「ッツ……ンッ……」
けれども葵は智之のそんな態度に対して思う事はあれど、それ以上の事を感じる余裕は、既に失っていたのだ……。