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貴方だけに溺れたい
第5章  枷

弥生の話では、それは葵が宮本家に到着するほんの少し前の出来事だったらしい。
きっかけは昨日の夕方、宮本家の8歳の次女と5歳の三女がチョークで描いた落書き。
それはいつもガレージから外の通りにまで広がっていて、葵自身も色とりどりのチョークで描かれたお城やお姫さま、動物達の絵を何度も見て知っている。
そして一通り遊んだ後はきちんと掃除をしている事も知っていたし、それが弥生のしつけだという事も知っていた。

しかし昨日に限っては、その習慣がいつもとは違っていたようだ。

「サプライズのつもりだったの。ちょうどね、ミクが家族5人の絵を描いてパパにも見せたいなんて言い出して、私も、それだったら写真に撮っといて後で見せようって言えば良かったんだけど、ちょうど描いた場所が入口だったから、帰って来た時に見たら嬉しいだろうなと思って残しておいたの。
掃除は当然、早いうちにやるつもりだったのよ。
ところがさ、さっき上の2人が学校のプールに行くから送って行ったんだけど、帰って来たら家の前に居てさ……人の顔を見るなり"汚ねぇ"って、サンダルでゴリゴリ擦りながら"汚ねぇ汚ねぇ"って何度も言われて、だから言われた通りに直ぐに謝って掃除始めたのよ。
そしたら何でか、あの人ずっと其処に立ってて……なんか言っちゃ悪いけど気味が悪くて……だから掃除はちゃんとしておきますって言って帰って貰おうと思ってたのよ。
なんでこの人に謝らなきゃいけないのよって思ってたけど、自分の不注意もあるし仕方ないんだけどさ……」

弥生の話を聞きながら、"汚ねぇ"と連呼するだけの竹村の様子は容易に想像出来た。
そして沸々と沸き上がる嫌悪感は吐き気にも似た不快感となって、葵の体内を駆け巡っているようだった。
気持ちが悪い。
無意識に半歩退いて深い呼吸を繰り返していた。

しかし葵のその拒否反応も行動も2人は気付かない。
ただ「うんうん」と頷きながら徐々に難しい表情に変わっていく陽子と同じように、葵自身の表情にも嫌悪感は表れていた。

けれど弥生の苛立ちの原因である本題はその後だった。
彼女は一度言葉を切ると、忌々しげに息を吐きながら「で、その後、何て言われたと思う?」と続けた。

「役に立たねぇ女ばっかり生みやがって。だってさ」


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