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あなたの背中
第3章 人との距離感


私は人との距離感をなかなか掴むことが昔から苦手だった。

遠いか。
近いか。
中間地点か。

しかし人を信じたかった。信じる事は簡単にできた。
それで痛い目を見ることがあるとは、思いたくなかった。


…………… ーー



圭のバイクの後ろに乗せられて、着いた場所は小さな居酒屋だった。

「 私、呑まないけど… 」

「 俺も呑まないけどここの飯は美味いんだよ 」

ヘルメットを外しながらそんな話をし、店の中に入るとどて煮のいい匂いがしてきた。


「 おーっと!お姫様のご登場かな?!」


そう声を張り上げて真っ先に席を立ち上がったのは彼、ハルキくんだった。

ハッとして、心臓が跳ね上がる。
憧れて遠くから眺めていた彼が今そこに居る。


「 あ、お待たせしました…… へへっ 」


少し照れ臭くなり、照れ隠しに笑う。
でも、どうしても嬉しくて少しにやけてしまう。


「 あー、この子だったのか。知ってます 」


そう口を開いたのは眼鏡をかけた細くて長身の男性。
和泉くん……かな?


「 さっ!座って座って! 」


そう言って自分の隣の席に誘導してきたのは小柄な金髪の男性。
ニッと笑うと八重歯が見えて、ヤンチャな雰囲気が漂っている。


「 お、お邪魔しまーす… 」


緊張しながら金髪くんの横に座ると、その隣に圭が座った。正面はハルキくん。右斜め前に眼鏡くん。

正面に座るハルキくんに視線を向ける。

彼の耳にはピアスが空いていた。今まで気づかなかった事。大きな瞳に目を奪われる。まつげの量は少ないが、長い。
と、そんな観察をしていると…

ハルキくんの瞳が私の方を向いた…ー

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