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あなたの背中
第3章 人との距離感
それから2ヶ月が経った。
店長はあの日から何も変わらずいつもの調子で、閉店後に食事に行く事はあっても定休日に食事に誘われることは無かった。
夏休みに入ってバイトも少し増やしてはいたけれど、店長も何も変わらぬいつもと同じ優しいお兄さんという感じで、私もあまり深く考えず、学校とバイトとバンドと忙しい日々を送っていた私はそれどころでもなかった。
そして夏休み終盤を迎えた頃だった…ー
「 夏の終わりに合宿をします 」
夏休みに入ってからでも、毎週金曜日に集まっていたバンドメンバー。夏休みもあと2週間と迫っている今日、いつものファミレスでスタジオ終わりに食事をしていると急に、リーダーの和泉がそう口にした。
毎週集まって私をメンバーの一人として優しく楽しく受け入れてくれていたので、この時には5人共がリラックスして話せる様な仲になっていた。
「 もちろん三上春香もな!」
その言葉に少しだけドキリとしてしまう。
私を見て名前を口にしたのはハルくんだった。
「 ここでハブかれたら相当ショック…… 」
ドキリとしたものの、いつも通り、みんなと同じように笑いながら返す私。成長したなぁとつくづく思う。
「 でもサヤちゃん嫉妬すんじゃね?」
ポテトを食べながら裕也がハルくんを横目で見る。
「 いーんだよー、ちょっとくらい俺にも青春させろよー…… 」
「 サヤちゃん嫉妬深いから後が怖いぞ〜 」
そう言いながらポテトをつつきあう二人。
サヤちゃんとは、ハルくんの彼女で1つ年上の先輩だった。喫茶店で見た時と変わらず本当にお似合いのカップルで、私にとっては目の保養だった。
… きっと。