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あなたの背中
第4章 夏の終わりの
バンド活動の夏休み合宿。
それは 2泊3日にかけて行われる予定になった。
1日目はいつものスタジオからのスタート。
夜の11時から朝4時までの学生特別5時間パックというメニューを活用し、スタジオ練習が終わり次第和泉の家に集合。
そこで仮眠をとり、10時から近場の遊園地に遊びに行く、というなんとも学生らしい拍子抜けした内容だった。
待ち合わせ場所は和泉の家。
もう言わずもがなだけれど、和泉の家は独り暮らしにしては大きな部屋を借りていたため、5人程度の雑魚寝なら優雅に慣れるほど広かった。
「 あれ? 三神春香じゃん 」
一人で部屋までいくのが心細かった私は、大荷物を持ったまま和泉の暮らしているマンションの下でメンバーを待っていた。するとハル君が到着したようでヘルメットを外しながら私に近づいてきた。
「 ハルくん、珍しく早いね 」
「 何言ってんの〜三神春香がビリだって〜 」
そう言うと私の肩から大きな泊まり用具の入った鞄を取り上げる。
ハル君は何かにつけて遅刻しがちで、マイペースな人だ。
「 えっ…いいのに。持ってあがれるよ 」
「 強がんなって。てか、今日暑くね? 」
スルリと持ち上げたハル君の腕は、色白で筋肉質なのに細く綺麗な肌をしていた。夏の暑さからか、ヘルメットをとった髪は汗で少し濡れていた。
「 んん… ありがと。まだ夏だからそりゃ暑いよ 」
いつもメンバーの中では雑用をよくやらされ、女ではなくまるで男として扱われるようになっていたが、ハル君は何故かメンバーのいない時にはとても優しかった。