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Leverage Effect〔レバレッジ イフェクト〕
第3章 捕食─墜す─
澁谷の清楚な面の下に潜む、淫乱な姿を目の当たりにして驚いたからだろうか。
自らも快感を求めて貪るように律動する澁谷の姿は、目に見えない何かに怯えて生き急いでいるように見えた。
ついこの間まで、出来が良いだけの面白味の無い人間だと思われた澁谷が、俄然目の前で輝いて見える。
挫折や畏れを知らない単なるエリートは、実は仮の姿だったのだろうか?
知ってはいけないものを垣間見たような気がした。
それは、澁谷の中に暗く渦巻く淫猥な部分。
「何を見てきた……」
薄い肌がけを胸まで引き上げて、穏やかに眠るその横顔に思わず呟きを漏らす。
──啼かせた挙げ句に聞き出したいことは、そんな下らないことか。
自分でも呆れるような言葉。
他人の心の闇を知ってどうする。
何のために知りたいのか……
自分に繋ぎ止めておくため?