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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
第10章 キャスティング

「ねえ、聖夜」
「何?」
「あたし今度、化粧品のCMが決まったの」
駐車場を歩く俺の後を着いてきながら舞花が話し掛けてくる。
「よかったね、おめでとう。あと、それと…」
“呼び捨てするな──”
「…それ、と──……」
一度言い争いして晶さんに言われた言葉を思い出した。
あれは結構傷付く…
だから舞花に言うのは気が引ける。
「やっぱいいや…」
「……?」
午前中の仕事を終えて楠木さんが運転する車に俺も舞花も乗り込んでいた。
まだマネージャーの付かない舞花は今朝、社長に局まで送って来てもらったようだ。
「社長は事務所?」
俺は楠木さんに尋ねた。
「ああ、用事があるとかで出掛けた筈──」
「なる」
それだけ聞くと、俺はなるべく舞花と接触しないようにシートに身を沈め、寝た振りを決めた。
色目を使ってくる女は大体気配でわかる──
社長の“経験は肥やし!”その受け売りで据え膳食わぬわ……を実践して今まで気軽に手を出してきたけど……
もう用はないから…
無駄な色恋に時間を割く暇は俺にはない──
悪いけど名前を売りたいなら他の事務所の男にあたって欲しい。
あとで社長にそのことも話付けないとな…。
まだ何かを言いたげな目線の舞花から顔を反らして俺は目を閉じた。

