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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
第26章 君のために

あたしは理由を聞いて、何となくホッとしていた。
「…んで、胸がデカイのをバカにされたと、泣いてロケバスから出て来ないままらしい」
「………」
「撮影に穴空いてクライアントはそりゃ大激怒。しかも舞花はクライアント側が選んだんじゃなく、マリオがどうしても晶をって推したその代理だからな……マリオの方も顔が立たないわけだ──…今後の契約が危ぶまれるってやつだな」
「……で、あたしはそんな大事件の中に放り出されるわけだ──…」
「……よくわかったな…」
ただの生け贄じゃん──
「撮影は夕方かららしいから今走れば間に合う──頼むから頑張ってくれ」
なんて他人事のような言い草だろう──我が身内ながら呆れてしまう。
火中の栗を放ろうどころか栗その物になるなんて──
「カップラーメン食い放題だぞ!」
「余計にいやじゃっ! 胸焼けするわっ」
満面の笑みを向けた健兄にあたしはそう言い切って返した。
急ぎで走らせたタクシーは広い草原へと向かう。
冬を迎える前の北海道──
空気が澄んでいるせいか風の冷たさも一際増している。
「楠木さん!」
「ああ、晶さんよかった」
楠木さんはタクシーから降りたあたしを見てホッとした表情を浮かべていた。

