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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
第26章 君のために


急ぎで旅館に向かうタクシーの中、健兄の電話が鳴り響く。

「楠木だ」

確認するとぽつりとそう口にして電話を受けた。

「──…ああ、わかった。場所は?……──ああ」

短いやり取りをえて電話を切ると健兄はあたしを見る。

「打ち上げ…いってくれ」

「………」

あたしは黙って健兄を見つめ返した。切った健兄の電話がまた直ぐに点滅した。

「これはどうするの?」

電話の画面に流れる夏希ちゃんの名前──

あたしはそれを指差して健兄を覗き込んでいた。


「晶さんっ…」

旅館に着いて顔を見るなり夏希ちゃんが駆け寄って来た。

「大丈夫!?」

「うん…なんとか」

心配そうな表情を見て罪悪感に苛(さいな)まれる…

夕陽に合わせた撮影だった為に移動に時間を取られただけで、ロケ自体は所要一時間もない──

そのお陰であまり大事の仮病を装う必要もなく夕食は北海道の夜の街へと繰り出した。

北海道の旅行通(ツウ)に言わせると旅館やホテル、宿泊先で食事を済ませるなんてもっての他らしい。

外で安くて旨いものを食す──

それが北海道を満喫する極意なんだとか…

てか…あたしの胃ではカップ麺が膨張して旨いものを前にしても箸が進まない…
「まだ調子悪い?」

隣の夏希ちゃんが顔を覗き込む。

その手前では健兄がしきりに目配せをして来ていた。

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