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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
第36章 想い違い

徐々に混んできた店でお客の注文を承けて回る。調理で忙しくなったマスターは厨房に引きこもり、食事を済ませた高槻は珈琲を飲み干すと直ぐに腰を上げた。
「じゃ、ご馳走さん!また来ます」
マスターにも聞こえる声で、高槻はそう挨拶する。
レジを済ませたママは御丁寧にも高槻を玄関まで送る。
「ありがとう御座いました」
テーブルを拭く手を止めて他人行儀にお礼を言うあたしを、高槻は帰りがけにちらりと振り向いた。
すごく何か言いたそう。
そんな表情を見ないふりしてあたしは仕事に集中した。
高槻は諦めて店を出る。
その後ろ姿が大きな窓ガラス越しに見え、高槻は店の前に停めていた車に乗って立ち去った。
「あら? やだ忘れ物?」
カウンターに戻ったママがそう口にした。
あたしが店で預かっていた高槻のマンションの合鍵だ。
「必要なら直ぐに取りに戻るだろうから預かってればいいと思う……」
「それもそうね」
あたしの言葉にママは頷く。そして高槻の合鍵はまた、元の忘れ物専用の引き出しに仕舞われた。。。
高槻が帰った後も和らぎは平常通り、安定した忙しさだった。
「じゃあ、お先に失礼します」
閉店を迎え、生ゴミを手にして大きなバッグを肩に掛けてマスターに挨拶する。
その姿にマスターはふと動きを止めていた。

