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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
第36章 想い違い

「……別に大した用はないよ……」
俺は答えて唇を強く噛んだ。
晶さんの問い掛けは、用がないならどうして連絡寄越したのか──…そんな追及が大いに含まれているのを感じるわけで。
今、この無言の合間にも晶さんの冷たい感情が垣間見えてくる。
「……っ…迷惑だった?」
「………」
聞いた言葉に晶さんは何も返さない。
晶さんの態度に嫌な予感がする。その度に、言い知れぬ怖さが湧いてそれが耐えられない。
「…っ…だって晶さん、行ってくるって声掛けても一言もなかったしっ…」
口にした言葉が震えて悔しさが溢れた。
まるで子供の言い分だ。
電話の向こうからは晶さんの小さな溜め息が聞こえてくる。
「夏希ちゃん……」
「……うん…」
「……仕事…頑張って」
「………」
取って付けたような言葉に思えた。なんだか酷く空々しい。
ほんとに頑張って欲しいようには聞こえない。
そう卑屈に受け取る俺に、晶さんは決定打を打ち込んだ。
「帰って来たら……話すから……」
「な──……」
聞き返そうとした俺の耳に、通話の切れた音だけが静かに響く。
しゃがみ込んで頭を抱えると
「…もう…なんで…っ…」
そんなやりようのない言葉が漏れて頭の中で延々と渦を巻いていた──。

