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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
第36章 想い違い

部屋が──異常なくらい、静かに感じる……。
切った電話を見つめると、何かを言い掛けた夏希ちゃんの声が耳の奥で途切れたまま、今もしっかり残ってる。
“な──…”
「な……か…」
この後にどんな言葉が続いたんだろ……
“なにそれ!?”とか
“何が言いたいの!?”とか……
たぶんそんな言葉なんだろうと思う……。
久し振りに戻ってきた建兄の広いマンション。
家政婦さんでも雇っているのか、意外にもホコリは見当たらない。
あたしはソファで両膝を抱えた。
一人で居るにはやっぱりこの家は広すぎる……
「広すぎるよ……っ…」
何だか急に声が上擦った。
うっとうしくなるくらい付きまとってきた夏希ちゃんが今は傍に居ない。
だから余計に広くて寒々としてみえる。
夏希ちゃんと知り合う前はこの広さもそんなに気にはならなかったのに。
まるで、すっぽりと身をくるんでいたブランケットをいきなり引き剥がされたような感じがする。
夏希ちゃんはそれだけあたしにとって温かくて、柔らかくて、心地のいいワンコだったんだ……
そう想いながら疲れた溜め息が漏れていた。
安心感で包まれていた筈だった……
何を言っても甘えて機嫌とって近付いてくる夏希ちゃんだったから。
それを確信したから疑うことを止めたばかりだったのに……

