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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
第37章 泣けない夜

「あたしも帰ろ…」
哀愁漂わせている時間が無駄だ。
そう思いながら気持ちを切り替えて振り向くと、昼に見た覚えのある車が店の駐車場前に停車している──。
「何しにきた?」
「忘れ物」
冷たく聞いたあたしに高槻はそう返した。
店に忘れ物なんか何もない。しいてあると言えば、“わざと忘れた”マンションのスペアキー、あれだけだ。
高槻は車から降りた。
「送るから乗れよ」
「………」
無言のあたしから自転車を奪い、また車のトランクに積み込んでくれる。
あたしはただ黙ったまま、高槻のやることを見ていた。
マンションまで来てあっさり帰った昨日の事が思い出される。
そして、送ってくれるだけならまあいいか。なんて思う自分もいた。
「夕食は?」
「まかないを食べたから」
高槻は車を走らせながら聞いてくる。
ただ送ってもらうだけだ。デートをする気はさらさらない。
隙をなるべく見せないように。誘いには乗らない雰囲気を作りながら返事を返す。
ただ…
高槻にこの手は通用しなかった……。

