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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
第37章 泣けない夜

レストランの待ち合いで迎えのタクシーを待つ叔父さんに見送られて高槻の車に乗り込む。シートに身を沈め、考え事をして動く様子のないあたしに高槻が言った。
「シートベルトしろよ」
「え……あ、ごめん」
気づいて慌てたあたしを高槻は笑う。何かを考えるあたしの思考の邪魔をしないように気遣ったのか、高槻の車は静かに走り出していた。
春先の一足早い歓送迎会なのだろうか?街の飲食店街は人波で結構賑やかだ。
その景色を横目に素通りしながら今度こそ車は健兄のマンションに向かっている。
「びっくりしただろ……」
高槻は唐突にそう口を開いていた。
元気だった叔父さんの不自由になった身体を見て、咄嗟に驚いた顔を誤魔化した。
叔父さんも高槻もそんなあたしに気を使わせないように接してくれていたことが逆に申し訳ない。
高槻は答えに戸惑うあたしに言う。
「仕事も付き合いも死ぬ気でこなす人だったから、お袋はずっと口にしてた……“いつかどこかでガクッとくる”って」
「………」
「止めても聞かない性分だからな……あれで済んで正直、家族皆はかえってよかったと思った」
“なったものはしょうがない”
高槻は間を置いて、溜め息混じりにそう口にした。

