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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
第37章 泣けない夜

「自転車下ろすから」

一言口にした高槻は、手早くシートベルトを外して車の外に出る。

強張った表情で夏希ちゃんが真っ直ぐにこっちを見ている。
マンションの壁に寄り掛かっていた身体をゆっくりと起こしながら、夏希ちゃんは助手席に乗ったままのあたしを見開いた大きな瞳で見つめたままだった。

後ろのトランクで騒々しい音がしている。

自転車を抱えながら高槻は背後から声を掛ける。

「駐輪場そこだろ? テキトーに置いてくるからな」

「えっ、あ…うん」

まるで夏希ちゃんの存在なんて無視だ。そこには誰も居ないように、高槻は普通に話し掛けてくる。

我に返ったあたしはやっと高槻の車から降りていた。

車のエンジン音。
少し離れたところでは高槻が自転車を停めているのであろう音がしている。

静かな住宅街でけっこう賑やかな騒音だ。

にもかかわらず──

夏希ちゃんを前にして、ゴクリと息を飲んだあたしの喉の濁音のほうがかなり大きく思えていた。


“ちゃんと話をしろよ”

そうだ。

話をしなきゃ──

車内で高槻から掛けられた発破に小さく手のひらを握り締める。

目を見開いていた夏希ちゃんの表情が少しずつ平静に戻っていく……

背後で車のドアを開ける音と同時に高槻の声がした。
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