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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
第37章 泣けない夜


「意気込んで来たわりに俺、ここのスペア鍵忘れてんの」

「………」

「思わず自分ですげー笑っちゃったよ」

言いながら夏希ちゃんの表情が少しずつまた……

険しくなっていく。

役者のせいか、静かな夜によく声が通りすぎる。あたしは大きくなっていく夏希ちゃんの声に焦りながら、夏希ちゃんの腕を掴んだ。

「わかったから部屋で話そ……」

「何がわかったわけ?」

「──…っ…」

夏希ちゃんはあたしが掴んだ腕を払った。

「晶さんがわかったのは俺の何?」

「夏…っ…」

「連れて帰ればいいなんて余裕ぶっこくわりに、実は鍵忘れるくらいテンパってたって……」

「………」

「そこわかってた!?…っ…」

吐き出した夏希ちゃんの言葉の語尾が強く震えた。


保っていた平静が、少しずつ壊れていく──

怒りを露にした表情。鋭い視線が真っ直ぐあたしに向けられている。

「いいよもう……」

「──……」

そう呟いたのは夏希ちゃんの声だった。

その言葉にちょっと驚いて夏希ちゃんを見つめると、さっきの怒った表情が消えている。

無表情になった夏希ちゃんはあたしを眺めるとまるで滑稽な物でも見たように鼻で笑った。

「もう……いいよ…」

「………」

「もう疲れた」

「………」

「なだめて機嫌とって必死に尽くして……っ…それでも結局こうなるなら…っ…もういい……」

「………」


諦めた言葉を口にして、夏希ちゃんはあたしを真っ直ぐに見つめる。
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