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ラブプレイ〜Hな二人の純愛ライフ〜
第37章 泣けない夜

何も言えなくなったあたしに夏希ちゃんはゆっくり背中を向けた。

「晶さんを好きでいると俺…壊れる……」

「……っ…」

最後はとても小さな呟きだった。

とても弱々しくてとても小さな声だったのに、その言葉はすごく重く、ちゃんと話をしようと心に決めていたあたしを厚い扉で拒絶したように思えた。

立ち去っていく夏希ちゃんの背中がどんどん小さくなっていく──

その場で身動き取れずにいるあたしの視界から、夜の闇が夏希ちゃんの姿をすっかり覆い隠してしまっていた。

あたしの左の手は夏希ちゃんに払われた形のまま、行き場をなくしている。


“晶さんを好きでいると俺……壊れる…”


夏希ちゃんが言ったその言葉にあたしは唇をゆっくりと噛み締めた。

好きでいると壊れる

だからなに?……


だから……

好きでいるのをやめるの?……


そう言うことだよね…

夏希ちゃん……



好きってだけじゃ確信が持てなかったから……

勢いや思い込みだけの言葉と態度じゃ不安だったから……

少し距離を置いて確かな想いを自分なりに知りたかったから──


その為の話をちゃんとするはずだったのに……


夏希ちゃんはあたしのことを諦めた。

離れたら死ぬって言ってた夏希ちゃんが

今度はあたしを好きでいると壊れるって離れていった……。



「──…っ…ほら…やっぱり自分の…っ…自分の感情だけの都合じゃんっ…」

夜はまだまだ寒さが残る──


人の居ない夜道で誰にぶつけるわけでもなく、漏れたあたしの言葉が急に上擦った……。

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