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オカシ屋サン
第2章 ホワイトチョコドーム①
「この綺麗なチョコレートを…わたしのために選んでくださったということですか?」
「ええ、佳代子さんにピッタリだと思いまして」
「そんな……ふふ、…嬉しい です」
控えめに、それでも嬉しそうに彼女は笑った。
初めて接触した時から思っていたが妙に品のある話し方をする女(ヒト)だ。
見た目を飾り立てていないぶん、それが不思議と色気につながっている。
言葉が過剰に礼儀正しいのは僕を助教授だといまだに信じているからだろうか。
「…品行方正で真面目な君の心は、このチョコレートのように真っ白で艶(ツヤ)があり、歪みがない」
「──…」
「だから選びました」
「…そんな優しい言葉…っ、今まで言われたことがありません。面白みがないと昔から言われ続けて、真面目というレッテルも長所なのか短所なのか今ではわかりませんから…」
「……」
「わたしは地味で可愛くなくて…、ノリが悪いから友達もできませんし」
嬉しそうにかつ、自虐的に微笑む口許。
それから彼女は僕に礼を言った。
添えたフォークを持とうとしない佳代子さんの横に立って、僕は最後の仕上げにはいる。