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オカシ屋サン
第3章 ホワイトチョコドーム②

「召し上がり方のご説明は?」

「いや、いい、必要ない…っ…」

「そうですか」

お客様は蓋を閉めた箱を鞄に収めた。

こんな薄気味悪い店はさっさと出たいとでも言いたげに、いそいそと立ち去ろうとした後ろ姿──

説明不要と言われたが、これだけはと思い僕は呼び止める。


「お客様」

「…ッ─なんだ」

「その飴玉──いつ召し上がるかはお客様の自由ですが、くれぐれも人目のある場所で舐めてはなりませんよ? 

舐める時間は多めにみて下さい。今回はとくに……フフ、ええ、長かったですからねぇ。ざっと一晩はかかるかと」

「…!?」

「一度舌の上に乗せたならば…舐めきるまでソレは終わらない。どうぞお気を付けて」


カウンターの内側から僕は簡潔に注意点を告げた。

後からクレームを承るのは御免なので、しっかりお伝えしましたよ。


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