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第8章 信と時田ちゃん

「出産祝いに何か買って行こうよ！！」

「そうだな」

張り切る時田の後ろをついて行く

なんか・・・不思議な気持ち
ユキさんの所に行くのに俺だけじゃないなんて・・・

今まではずっとユキさんだけだったのに・・・

ユキさんに彼氏が出来た時
ユキさんが結婚するって聞いた時
ユキさんが子供出来たって聞いた時
全部泣いてた俺がいたな・・・

時田を好きにならなかったら・・・
きっと今も泣いていた

こんなに穏やかな気持ちで会いに行けるなんて思いもしなかった


「時田のお陰だよ」

「何が？」

「こっちの話」

「変な後藤君。ね？それより・・・これ可愛いよ！！」

お前の方が・・・
（かわいい・・・）
なんて・・・

ユキさんと比べる事なく純粋にそう思えるなんて・・・

（お前がユキ以外を好きになるなんて奇跡だ）

先輩の言葉が頭に浮かぶ

自分でもそう思うよ

ユキさん以外が心の中に入ってくる事なんてなかったのに・・・

今は時田で頭がいっぱいだよ

恥ずかしいから・・・心の中でしか言えないけど・・・