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シミュレーション仮説
第3章 夫への愛を失くした女
 灯りを消した寝室のベッドの中、自ら衣服を脱ぎ裸になる。
 篤志とともにいて自分から服を脱ぐのはいつぶりだろう? 篤志は恵子の着衣を一枚一枚脱がしながら愛撫するのが好きだった。
 ベッドに寝かせた篤志の服を脱がし、丁寧に畳む。

 そしてそっと体を重ねた。

 篤志の体は相変わらず筋肉質で固く暖かい。なのに男としての機能が全く働かない。

 ぼんやりと天井を見つめる篤志の唇に自分の唇を合わせる。いつもの篤志ならきつく抱き寄せ痛いくらいに舌を吸う。
 なのに篤志の体は動かない。激しく自分を責めた指に指を絡めて強く握る。

 今日は恵子が篤志の舌を吸い出す。唇を舐め頬を寄せながら耳たぶを甘く噛む。そのまま舌は首筋から鎖骨を通り、筋肉の硬さの中に埋もれた乳首を舌先で転がす。

 責めるのが好きな篤志の体を恵子の舌で愛撫したことはなかった。フェラチオくらいはするし時に喉の奥深くまで咥え込まされることもあった。それでも篤志が恵子を責める時間のほうが圧倒的に多かった。

 今夜は立場が逆になり、恵子が篤志の体を隅々まで舐め尽くす。

 性欲を満足させるためではなく、相手のことを想って。
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