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シミュレーション仮説
第3章 夫への愛を失くした女
 相変わらず篤志は何の動きも見せないが何も感じていないわけではなさそうだ。その証拠に舌が這うと体がもぞもぞとわずかながらに動いている。

 時短をかけてたっぷりと篤志の体を愛撫し、恵子の舌が男性器へと辿り着く。
 そこは力なくしぼんだまま何の反応も示さなかった。

 こんなにしてもダメなの…?

 恵子は悲しみを感じつつも暖かい口で柔らかく包み込む。

「ん…」

 篤志の口から微かにうめき声が漏れる。

「恵子…もう、いいよ」
「うん…もうちょっと」

 夫の悲しそうな声に恵子は反発する。いつもならセックスの主導権は篤志が握っている。今夜はじめて恵子は自分の意思で篤志を求めた。
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