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第1章 性欲に翻弄される少女

　菅野陽一。高校生になってからの美憂の友人でハンドボール部のエース。美憂の家は陽一の家から近く、彼のランニングコースになっているらしく、時々息を切らせて走る陽一とすれ違うことがあった。

　細身ながらスポーツマンらしく鍛えられた体を持ち、女子生徒からの人気も高い。

　陽一は美憂に惚れていた。ランニングコースに美憂の家の前を選んだのも一目彼女を見れるかもしれないし、何かのきっかけで親しくなれるかもしれない、という下心もあったりもした。

　結局何の進展もないまま高校二年生になり、ついに陽一は美憂に告白をした。
　男子生徒ともほとんど喋らない美憂はどう答えたらいいものかも分からず、まだ返事をしていない。

　やだな、こんな落ち着かない姿見られるの。
　陽一君になら処女をあげてもいいかな。

　ふたつの相反する思考が同時に美憂の頭を駆け巡る。

　前者は昨日までの美憂のもの。
　そして後者は今朝から生まれた、男を欲する美憂の思考。

　美憂はただ困惑し同時に頭の中を陽一との性行為の想像でいっぱいにした。

　陽一とのセックスを想像している自分を陽一本人が見ている。
　美憂はいつ授業が終わったのかも判らないほど、そのことばかりを考えていた。