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第3章 夫への愛を失くした女

「あう…ん、篤志…気持ちいいよ、気持ち、いい…っ！」

　その声に篤志はさらに舌に力をこめる。一晩に何度も絶頂に導いたあの頃のように舌を動かす。

　篤志は恵子の責め方を忘れてはいなかった。
　恵子の感じるポイントは熟知している。

　そこを今までと同じように。

　今までと違うのはそこに恵子への愛情が加わったこと。
　それは受ける側の恵子の快感をより強く大きく深くした。

「イくイく…！　あんっ、イ…！」

　びくんびくん。篤志の顔の上で体を波打たせて恵子は快感の涙を流した。


　篤志は照れたように笑うと恵子を抱き寄せる。恵子はうっとりと胸に顔を寄せる。
　篤志の男性器はついに何の反応も見せなかったが二人とも不思議な満足感に包まれていた。

　体の満足だけでは得られないもの。
　心の満足を二人は感じていた。

　夫は忘れていた妻への愛を思い出し、妻は失いかけた夫への愛を取り戻していた。