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禁断背徳の鎖外伝ー多忙者達のXmas
第1章 クリスマスイブの幻ー恋とピアノとの狭間
少しだけと言いながら、どれくらい抱き締め合っていただろうか?
思いを振り切り、私は美紀様の身体を手放した。
「・・・・・」
「・・・・・」
途端に、ぬくもりから冷める私の身体、だけどまだ何処かに熱さが残っており、これを冷まさない事にはどうにもならない。
そんな自分を一旦は無視し、私は美紀様に向かって穏やかに微笑む。
「・・まだまだケーキはありますよ美紀様?」
「えっ?
ああそうだよね、こんなに残したら勿体ないもの‥
後はめったに飲めないスパークリングジュースもね」
「ええジュースは私も頂きます、本当に懐かしい」
気分を変える為に、甘いジュースを胃の中に流し込む‥
子供の頃は純粋に美味しいと飲んでいたが、今飲めば甘さと先ほどの余韻のほろ苦さ・・・いや後ろめたさとも言うのだろう。
理解していて止められ無い私の後ろめたさ、片思いの少し先にあった「人のモノ」だと分かっていての罪悪感。
会長室に来る前にも思ったが、ダメと言われるほど恋い焦がれるもの、それも深く‥
いい年の大人がと思うが、恋い焦がれるのに年齢など関係ないと思っている私も居る。