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禁断背徳の鎖外伝ー多忙者達のXmas
第1章 クリスマスイブの幻ー恋とピアノとの狭間
"パチパチパチパチ・・・・・"
スタンディングオベーションとはいかないが、演奏終了と共に静かな拍手が沸き起こる。
彼女の曲の選び方、演奏の仕方だと、この様な拍手の方が似合っている‥
それは子供の頃にピアノを習っていた私だからこそ分かる事。
同じクラシックでも様々、激しい物から今リュカが弾いたクリスマスらしい静かな物まで、ジャンルは多岐に渡る。
どちらかと問われれば、私もこういう静かな方が好み。
純粋な感動で拍手を贈っていたら、こちら側に向かって1礼し顔を上げたリュカと目が合った‥‥そう思う。
彼女の表情が一瞬だけ、私と目が合ったと思った時に変わったから。
(・・・表情的に考えると驚きと喜び、私を見付けてリュカはそう思ったのですか・・・)
黙って立ち去ろうと思っていた、リュカの事は一夜の過ちに近く今の私はそんな気も無い‥
そんな私が再び声を掛けても話にならない、そう思うからこそ立ち去る事を考えていた。
だというのに見付かってしまうとは‥
私の紛れ方が不十分だったのか、彼女の目が良かったのか、見付かって挨拶しない訳にもいかないのが辛いところ。
美紀様に何も出来ない鬱憤と欲望を、一度でもリュカに向けたのは私なのだから。