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わざとの嫉妬、それからの・・・
第10章 欲情する尾行
‘ないよ’とそれに返事をしようとした時に女が「来たぁ」と小さいながらハッキリと叫びを上げると、続けて「シーッ」と人差し指を唇の前に立てて見せてきた。

見れば、なるほど土井と新井が店から出てきて、ピタリと横に連れ添いながら歩き出している。

それを見失うまいとする飯島亜紀子に、「行こう、行こう」と繋いでいる手をゆすられて男も足を動かし出した。

幹線道路一本を挟んで、土井と新井の斜め後ろを気づかれてしまわないよう用心し、行き交う人達をスクリーンにして後をつけていく。

人影で見え隠れする二人を見失わないようにして歩いていると、何だか探偵にでもなった気分になって男も楽しくなってきていた。

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