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君を孕ませたい
第10章 君に触れたくて堪らない
沙織が行きたがった場所は車で1時間程の郊外にある公園で、そこから一緒に夜景が見たいと言う。



夏のまだ日の長い時期、夜景を見るには早くとも20時は過ぎるだろう。
それから急いで帰っても21時は優に過ぎてしまう。
実咲を待たせてしまう。
また寂しい思いをさせてしまうのではないか。
そんなことが頭から離れず、
心ここに在らず、沙織との会話も上の空だった。



この公園からの夜景はそれなりに人気の夜景スポットではあるが、綺麗なはずの目の前の景色が一向に入って来ない。



(早く帰りたい)

考えるのはそればかりだ。



そんな自分に呆れたかのように、もう良いわ、と言って思ったよりも呆気なく解放された。



近くを通る大通りでタクシーを広い、先に沙織を乗車させ、今までありがとうと短く別れを告げた。



沙織は一瞬何かを口にしようとしていたが、
口をつぐみ俯いたままタクシーを発車させた。



そしてそのすぐ後に通ったタクシーを捕まえ、やっと実咲の待つ家に向かって帰路に就くことができた。



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