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第11章 新しい生活

その日、翼さんが帰宅したのは夜の10時も近い時刻で、学校がある日は早く眠くなってしまう私はリビングのソファでいつの間にか眠ってしまっていた。



唇に感じる感触と、
体に感じる微かな重みで目覚めると、
翼さんの顔が目の前にあって、
ほっとするのと同時に嬉しくなって、
お帰りなさい、と抱き付いてしまった。



翼さんは、ただいま、と抱きしめ返してくれて、少しのあいだ抱きしめ合って、どちらからともなく唇が重なり合った。



「ふふふっ」

私は弾む気持ちを抑えきれなくて
つい笑いが零れてしまって
翼さんはそんな私を笑みを浮かべ優しい表情で見つめてくれる。



「帰ってきて実咲が起きてるの嬉しいなぁ」

そう言って私の頭に顎を乗せてぎゅうってきつく抱きしめる。



私は翼さんの少し汗の匂いが残るワイシャツに顔を埋めてすりすりする。



「どうしたの？今日はいつもより楽しそうだね」



「うん。今日ね、学校で楽しいことがあったんです」



そんな会話をしながら夕食の準備に取り掛かった。