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君を孕ませたい
第1章 被っていた仮面
「で・・・玄関入ってすぐの右側がキッチンとリビング。左側は応接室というか、会社関係の人やお客さんが来た時に通す部屋になっている。浴室はリビングから出入り出来るからお客さんが来ても顔合わせずに入れるから安心してね」



「はいっ・・あっ、この下は・・地下室ですか?」

地下へと続く階段を覗き込みながら尋ねてきた。



「ああ、地下はシアタールームになってるんだ。家族全員映画が好きで、大音量で見られるように完全防音で設計してあるんだ。良かったら今度一緒に観ようね」



「はいっ」



「キッチンは好きに使って良いよ。俺は外食する事も多いし、朝は適当に済ませてるから・・実咲ちゃんは料理は作れる?」

キッチンへと案内し尋ねる。



「あ・・上手じゃないけど出来ます。おじいちゃんと住んでいた時は私がご飯作ったりしてたから・・」



「そっか。じゃあ、たまにで良いから俺にも作ってくれる?」

首を傾け顔を覗き込む。
180cm以上ある自分と150cm前後の彼女とでは覗き込まない限り表情をきちんと確認する事が出来ない。



「はいっ、頑張りますっ」

照れたように俯き頬を赤く染める。



「食費はここの引き出しに入れておくから、食材や日用品はここから買ってね」



「そんな・・私自分の分は自分で何とかできます!」



「だーめ。さっきも言ったけどバイトしていたら俺のお世話出来ないでしょ?」



「でも・・・」



「こういう事は大人に甘えなさい。ね?」

鼻先をつんと人差し指で軽く叩く。



「・・っ、ありがとうございます・・っ」

今にも泣き出しそうに涙を浮かべている。



「今日からはここが実咲ちゃんの家なんだから。ちゃんと寛いで、遠慮なんかしちゃ駄目だよ?」



「・・・・っ」

涙をにじませながらこくりと黙って頷く。



「もう大丈夫だから・・ね?」



「う・・っ、ひっ・・く・・、ありがと・・ございます・・っ」

突然親族を亡くし1人きりになり不安だったのだろう。
張りつめていた糸が切れたように泣きじゃくる。



そっと肩を抱き寄せ背中をぽんぽんと叩いてやる。



今言った言葉に嘘はなく本心ではあるが、心の奥底には早くこの少女を抱きしめたい、俺だけのものにしたい、そんな邪な感情が湧き上がっていた。




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